ゆっくりさよならをとなえる

ゆっくりさよならをとなえる (新潮文庫)

ゆっくりさよならをとなえる (新潮文庫)

読了。
て、最近(と言っても、ここ4、5日くらい)1日1冊ペースだな。。。


エッセイ集なのに、なんだか小説読んでるような気分になった。
川上ワールドだー。


いや、しゃれじゃなくって本気で。
なんてことない(むしろくだらない)日常ですら、こんなにステキなことのように描ける。
それでもって、それはこの人にしか描けない世界観で。
もし、真似っ子したりしたら、たぶん、自分の世界の狭さに愕然とするんだろう。
…この原因は、世界の狭さじゃないはずなのに。


あんまりにもステキな言葉と、面白そうに見える本が溢れてるので、久々に付箋を貼りながら本を読んだ。
哀しいをバナナパフェに置き換えるだとか高熱の頭で「井の頭公園さん大好きだからね」とつぶやくところだとかヘミングウェイを「別れた男と会ったら、やっぱり素敵だった。素敵だけれど、別れたのは当然だったな。」と言ってしまうところだとか「マイナーとうとう」だとか。
惚れ惚れだ。
何回だって、読み返して惚れ惚れしてしまいそう。
この人の文章は、小さいころ大切にしていたくだらない宝物みたいな匂いがいつもする。


あと、ひとつ。なるほど、と思った(というか、びっくりした)こと。

幸福の形は一つしかないが不幸の形は幾通りもあるという意味のことを書いたのは、トルストイだったか。
恋愛の形も幾つもあり、すると恋愛というものは、じつに不幸に似たものなのかもしれない。
(中略)
「恋愛」を「人生」と置き換えてもいいだろう。そういえば恋愛と同じく、人生にも幾通りもの道がある。ならば、人生というものも、不幸に似通ったものだということになるのだろうか?

あぁ、もう。
これけっこう真実なのかもしれない。少なくとも、わたしにとっては。
真実とか、気軽に使う言葉じゃないけど、使っても良いくらい、はっとした。