読んだの記録。


図書館のおかげで気分はほくほく。


白河夜船 (新潮文庫)

白河夜船 (新潮文庫)

ずいぶん久しぶりに再読。
まるっきり内容を忘れていて、気分はほとんど初読。
たしかに、夜がくっきりしていて、読めば読むほど不思議な気持ちだった。
夜、といえばずいぶん悲観的になりがちだし、この話たちもずいぶん悲観的に見えなくもないのだけれど、でも、どこか光みたいなものがあって、それは自分以外の他人によるものが多くて、本当に読めば読むほど不思議な気持ちになる。うまくは言えんのだけど。
それにしても、原マスミさんの解説おもしろかったよ。解説を読んだ中で2番目くらいに印象的だった(1番は『あしたはうんと遠くへいこう』の解説してた穂村弘さん。ずいぶん衝撃的だった)。


蛇にピアス

蛇にピアス

図書館で借りて。1回読んでみたいなぁ、と思っていたので。
きっと同い年。そして「芥川賞受賞作品」。
そのつもりで読んでしまったので、というか、どうしてもそのつもりでないと読めなかったので、うーんうーん、と思ってしまった。
読んでいて、行間以上にとてもとても薄っぺらな印象を受けてしまって、なんで?と思ってしまう部分もあって、よく聞く批判に「あー、なるほど」って、すごく納得がいった。
内容的には、きっと、おもしろかった。たぶん、どんどん書いていけばもっともっとうまくなるんだろうなぁ、と思った。でも、これで「芥川賞」をとってしまったし、ずいぶんメディアにも取り上げられてしまったから。読んでる側としては、うまくなるまで耐えられるのか、それがとても疑問。
きっと、なにかの新人賞とかで細々デビューして、芥川賞もとらないで、こつこつ書いてうまくなっていけば、ずっと見守っていてくれる人もいると思うし、何かしら書きたいことを書いていけるんだろうなぁ、と思うのだけど。それはもうただの「たられば」話で、実際みんなが知ってるくらいメディアにとりあげられて、そういう目で見られているから、たぶん、けっこういろんな声が聞こえるんだろうなぁ、と。そんな中で書くのってあんまり楽しくないだろうなぁ、と。どうしても思ってしまう。
けっきょく。
お金がからむと怖いなぁ。それが正直な感想。売ってる本なんだからしようがないんだけどさ。


ジャンピング・ベイビー

ジャンピング・ベイビー

これも図書館で。この人は、よくわからないけど機会があるたび読んでしまう。
で、この話は別れた夫と愛猫ユキオを埋葬に行く話で。
物語的には大して動きはないのだけど(何せ半日くらいの中の話だから)、いろんなエピソードエピソードがものすごく、惹かれた。というか、痛かった。ユキオが死んでしまう思い出だとか、元夫と遅いお昼ごはん食べるところだとか、現夫の言動だとか(「カノちゃんには嘘つけないんだよ」って。イテー!!)。いろいろ。
あー。この人、こういうのがうまいからやめられんのだ。とはじめて実感。それまではいまいちよくわからなかったのだけど。
全体的にはあんまり現実味がないのだけど、ところどころでいきなり現実に引き戻されて、ぐさっとやられてしまうのがツボ。本当にシャレじゃなく油断したところでぐさっとくるんだよ。こわいから読みたくない…でも読みたい…ってなってしまう。
きっとまた、借りると思うよ。あははん。