駆け出しデザイナー奮闘記と佐藤可士和のつくり方

駆け出しデザイナー奮闘記

駆け出しデザイナー奮闘記

SAMURAI 佐藤可士和のつくり方

SAMURAI 佐藤可士和のつくり方

だんなさん用に(欲しいと言い出せないだんなさんに「買えば?」と後押しして)買った本。
ではあるものの、この辺り、傍から見てる自分がいるので勉強がてらでわたしもついでに読んだ、というもの。


で、デザイナー奮闘記の方はまさに「デザイナーはやっぱり体育会系だぜ」みたいなものががんがん押し出されていて、アートディレクターに弟子入りして勉強してデザイナーからアートディレクターを目指します、みたいな本だったのだけれど、ここで思ったことは、「この人みたいなアートディレクターになりたいです」と言っている限り、その人を越えられない=なかなか目立てない(というか独立してもよっぽどのことがない限り険しい道のりだろうな)と日々感じていたことを再認識させられた感じ。有名なデザイン事務所の入社5年目くらいの人たちの1日だとかインタビューだとかが書かれていた本だったのだけれど、華やかそうに見えるけど実は厳しいんだよ、という現実をもうちょっと出しててくれても良いのに、とか勝手に思ったりもした。
で、佐藤可士和のつくり方の方は「やっぱりそうよね、そうするべきよね、悦子(呼び捨て)」みたいな親近感をもったりと抱いて読みきった。やっぱりカッシーだけではサムライは成り立たなかったんだよね、という予想を見事に語り上げてくれていた本だったなーと思う。悦子偉い。と、読みきった後には爽快感まで得ることができた(会社辞めたる!と決意した要因のひとつにこういうようなことの悪い方に会社全体がもういききっちゃってるじゃない、みたいな私事があったのでよけいに爽快だった)。
デザイナーとかアートディレクターとかって、華やかに見える職業のひとつではないかと思うのだけれど、実際は「考えてつくる」よりも量産だとか修正だとか交渉だとか1px単位の微調整だったりの作業時間の方が長いものだし、かつ「自分がつくりたいものをつくるんだよ!これが正解なんだよ!」という風に簡単にはいかない世界にいることが多くて(何せクライアントありきの「商売」であることがほとんどだから)、その現実はなかなか表には出てこないもんだね、ということを感じる機会が多かったのだけれど、この2冊は素直に受け止めることができれば、そういう裏側がちゃんと見える本なのかもな、と思います。
実はわたしディレクターでだんなさんデザイナーなので(ふたりとも業界は全く異なるけれど)、業界は違っても同じような壁にぶち当たるし、その裏側は同じようなものだし、かつ、思うところも同じようなことで、だんなさんは見事にその典型みたいな方なので、悦子には(まだ呼び捨て)本当に共感しまくったし、奮闘記に出ていた方々も偉い、と本気で思った。
それから、一瞬所属していた管理系のお仕事ではまったくと言って良いほどそういったことが知られていなくて理解もされなくてすんごく苦労したのだけれど、そういう経験も踏まえて、いろんな世界があって、いろんな考え方はあるけれど、わたしはけっきょくこっちの世界にいた方が良いな、と再認識もした。