考えるヒント


新装版 考えるヒント (文春文庫)

新装版 考えるヒント (文春文庫)

小林秀雄
ゼミやって梶井研究するまでまったく知らんかったけど。
だいぶいろんな文豪さんたちがお世話になった人。この人おらんかったら名前残ってなかった文豪さんもきっといるはず。ちょっと偉大。
あとボードレールとかの翻訳もやってたっけか??


そういう人だ、てことは知ってたものの、いったい何考えてたのかてのはまったく知らんかったし興味もあったので読んでみた。
で思ったんだけど、明治とか、(今で言う)近代文学に携わってた人たちってみんな博識なんよね。やたらと。しかも、それを鼻にかけてる人が多い。笑。
「文学なんかやってるんですよ」てのがある種のステータス、ていうかそれがカッコイイ、ていう。今で言ったらお皿回してるのカッコエやろ?みたいな感じか??
だからこそみんなこぞって知識を得て、それをひけらかして論争して、てのを繰り返してて。そういうのがあるからみんな賢いんだろね。
そんでもって、そういう風潮があったからこそ近代文学はスゴイ!!て思う作品がいっぱいあるんだと思う。私小説ひとつとっても、ただ心情をつらつら書いてるだけなのにそこに出てくる言葉が半端ない。だからこそ飽きがこない。言葉の数が多いだけじゃなくて、ちゃんと使いこなせてるからうまいこと言ってくれるやん!て思える。


逆に今の小説とかが「文学じゃない。ブンガクだ」とか言われてるのはそのへんが起因しているんじゃないんかなぁ。
だって、小説とかって誰にでも書けるし、今は18とかでデビューできちゃうけど、そういうの読んで近代の作品と比べるとどうしても浅いなぁ。。。と感じてしまうものもあるもん。
それはやっぱりそれを書いてる作者の背景(知識とか経験の量ももちろんだけど、それに伴う考え方とか物事の見方とか)が影響してるよなぁ、てね。
知ってることが増えれば増えるほど、理想とするところはどんどん高まっていくだろうし。
そうなると書きたいこととかもかわってくるし、できあがるものもそういう理想にどんどん近づいていくだろうし。
本当に書き出すことよりもこういう勉強をする、ってことの方が大切なんじゃないだろか、とずんずん考えてしまう。
そりゃ知識なんていっくらでも詰め込むことはできるけど、それを咀嚼する、となると難しい。そういう咀嚼の作業をしなきゃ使いこなすこともできんのにね。
やっぱ、そうするのには人としゃべる(論じる)ことが1番手っ取り早いんだろうなぁ。
だからこそ今の小説が勝てないんだろうなぁ。
そういう環境って、羨ましいなぁ。
そりゃ、こういう知識とか咀嚼とかの話が今のブンガクとかいうのに一概に言えてしまう、てほどかんたんな話じゃないんだろうけど。
これはだいぶ大きいよなぁ。


…と内容とは全然関係ないんだけどそういうことをふと考えたのでつらつら書いてみた。
そんだけ。そんだけの話。