想い事とショートカットと私が語りはじめた彼はと聞きたい言葉


想い事。

想い事。

こっこさんの本はずっと読んでみたくて、でも絵本にはなかなか手が届かなくてそんな時に偶然出会った本。
なんというか、わたし自身が昔から「見ているだけで行動を起こしたくなる本」ていう本はすごい、ということを思っていたのだけれど、この本はまさにそうさせてくれる本で、静かなんだけれど1枚皮を剥がしてみたらものすごく熱い何かがあるように感じて、圧倒された。写真も文章も。
やっぱりすごいなあと思うと同時に、何か迷いがある時には絶対に開いてはいけない本だなあとつくづく思った(絶対に向かってはいけない方向に考えがいってしまいそうで)。危険。でも出会えて良かった。


ショートカット (河出文庫)

ショートカット (河出文庫)

この人の本は前から読んでみたくてそれはなんでかというと比較的近しいところに居てた、ということを知っていたからなのだけれど、全部に大阪弁が使われている、というところにものすごく疑問を感じた。
なんでかというと、小説ってだいたい標準語で書かれていて、大阪弁だったりの方言を使う時には何かしら意味があったりするものなのに、これは全部大阪弁で。その必然性というか意味というかそういうものがまったくわからなくてそれがすごく鼻についてしまったからなのだけれど。作者が書きやすかったり親しんでいた言葉だから、ていうのは通用しないんじゃないの?というのがずーっとつきまとってしまって、どうにもこうにもだめだった。
かつ、舞台が大阪だったり東京だったりするけれど、それもまた気になって。もーなんというか、「この人たぶんこういう環境であんな状況だっただろうからな」というのが想像できてしまうのが何よりまずかったのかな、とは思うのだけど。うーんうーん。ちょっと、とうぶん避けて、もう少し経ってからまた別のものを読んでみようと思います。あー。


私が語りはじめた彼は (新潮文庫)

私が語りはじめた彼は (新潮文庫)

前に読んだ秘密の花園(asin:4101167540)のことをすっかり忘れていて、「わーーーー!!」とめちゃめちゃ衝撃だった。
ずっと「本人」が出てこないのにものすごく存在感アリアリで、その人が死んでもまた、ずっと存在しているみたいでとにかくうまいー!!!!のひとことで、そういえば秘密の花園もすごかったんだーていうことをその時はじめて思い出した。あの時よりまたもっとすごい。
「何か」訴えることがある、というわけではなくてきっと読む人それぞれがいろいろなことを思える本で、なんていうか、とにかくもう物語としてしっかり完結していて、何にも読者に委ねてません、という話でその潔さというかがっつりさがすごく気持ちよかった。いや、なんていうか、もっと読まれてほしいとものすごく思う。本当に。


今回はなんでか読むまでにやたらと間があいてしまったのだけれど、ここ何年か読んできた中で1番すっきりできたような進歩したような発展できたようなそんな印象だった。
毎年毎年読み続けているけれど、これだけ続いていて、いったいいつ、どうやって終わるんだろう…、と素朴な疑問も浮かんできたりしつつ。なくなったらかなしいなあとかいろいろなことを思いながらも年に1冊のこの本はいつも(もうすっかり読みなれているせいで)がーっとさらりとあっという間に読み終えてしまうのがちょっとかなしい。とか言いつつ読み出したらやめられないのだけれど。
また来年を楽しみに。うん。